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    【ちょっとお昼にクラシック】 ―このピアノを、バッハは弾いた―  BACH SPIELTE AUF DIESEM KLAVIER

    昼下がりのコンサートホールで優雅なひとときをお過ごしいただける人気のコンサートシリーズ「ちょっとお昼にクラシック」。6月17日のコンサートでは、国内に1台しか存在しない貴重な楽器が登場します。かのヨハン・ゼバスティアン・バッハ(1685~1750)が弾いたピアノの復元品です。
    題して、「このピアノを、バッハは弾いた」。
    バッハやその息子たちの音楽を、彼らが実際に弾いていたピアノの音色でお聴きいただきます。バッハの鍵盤音楽のスペシャリストである武久源造さんの演奏と解説で、どうぞご堪能ください。

    武久源造/ジルバーマン・ピアノ
    武久源造さん。この写真の楽器が今回のコンサートで使うバッハが弾いていたピアノの復元品です。


    「バッハが弾いたピアノ」と聞いて、いぶかしがる方もいらっしゃるかもしれません。
    バッハ自身は「ピアノのため」と銘打った作品をまったく残しませんでした。バッハの鍵盤音楽がピアノで演奏されることは多々ありますが、やはりオルガンやチェンバロでの演奏が主流でしょう。
    「ピアノ」が発明された当時の正式な名称は、「クラヴィチェンバロ・コル・ピアノ・エ・フォルテ(弱音(ピアノ)も強音(フォルテ)も出せるクラヴィチェンバロ)」。古い時代のピアノを現代のピアノと区別する意味で「フォルテピアノ」という呼称もありますが、いずれにせよ、その名前のとおり、強弱の表現がピアノの大きな特徴です。18世紀の頃から、ピアノでの演奏を想定して書かれた作品には強弱の指示が頻出する傾向があります。
    史上初のピアノ音楽(つまり「ピアノのため」と楽譜に印刷されている作品)であるロドヴィコ・ジュスティーニの〈ソナタ集〉(1732年出版)からして、楽譜には「ピアノ」や「フォルテ」の指示が頻出しているのです。
    他方、バッハが楽譜に「ピアノ」や「フォルテ」といった指示を書くことは、ほとんどありませんでした(これは強弱をつけずに演奏されたという意味ではありません。強弱を書く習慣がなかったという意味です)。

    しかし、バッハは生前、実際にピアノを弾いていたのです。ピアノはイタリアの楽器職人バルトロメオ・クリストフォリによって1700年頃に発明され、バッハが生きたドイツでも、オルガン職人のゴットフリート・ジルバーマン(1683~1753)によって1730年代に製作されています。彼はクリストフォリのピアノを手本に、さらなる改良を施して独自のピアノを完成させました。
    今回のコンサートで皆様のお目にかけるピアノは、1750年に世を去ったバッハが生涯の最後の時期に触れたであろう1747年製ジルバーマン・ピアノの復元品です。

    なぜバッハは「ピアノのため」と銘打った作品を書かなかったのでしょう?
    これまで、それはバッハがピアノという楽器を評価していなかったからだ、と信じられてきました。バッハが初めてピアノに触れたときのことを、バッハの直弟子が伝えています。その逸話をひも解いてみましょう。
    「ゴットフリート・ジルバーマンはこの楽器〔注・ピアノのこと〕を手はじめに二台製作したのだった。その一台を、いまは亡きヨーハン・ゼバスティアン・バッハ氏が実見し、かつ、試奏した。彼はその響きをほめた、というよりは激賞したといってよいが、しかし同時に、高音部が弱すぎるうえに、弾きづらいという指摘もつけ加えた。自分の製品に少しでもけちをつけられることに我慢のできないジルバーマンは、これを聞いてすっかりつむじを曲げてしまった。」

    (シュルツェ編「原典資料でたどるバッハの生涯と作品」酒田健一訳 角倉一朗編『バッハ叢書10 バッハ資料集』(白水社、1983年)所収、128頁)

    この記述をもとに後世の音楽史家は、バッハはピアノに対して、製作者のジルバーマンを怒らせるほどの厳しい評価を下した、と考えたわけですが、よく読んでみれば、バッハはジルバーマンのピアノの欠点を指摘しただけではなく、その響きを「激賞した」(!)とも書いてあるのです。

    もしかするとバッハは、ピアノに大いなる可能性を見出していたのかもしれません。事実、バッハの伝記や遺品の研究からは、この後も彼がジルバーマンのピアノの性能を検査したり、自分の演奏会でピアノを使ったり、さらには販売まで手伝っていたことが、明らかになってきています(詳しくは、改めて書きたいと思います)。

    バッハがちょうどピアノという楽器を知った頃に作曲した作品が、6月のコンサートで取り上げられます。〈パルティータ 第4番〉BWV828です。
    全部で6作品ある〈パルティータ〉は、1726年からほぼ年に1曲のペースで作曲されていった、当時のバッハの技法や知識の集大成ともいえる作品です。そして大変興味深いことに、特に後半の第4~6番では、チェンバロよりもむしろピアノに適しているようなダイナミックな表現、言い換えればピアノ的な表現語彙が登場しているのです。
    今回のコンサートに先がけて、武久源造さんがジルバーマン・ピアノで録音した〈パルティータ〉全曲のCDが4月7日に発売になります(コジマ録音 ALCD-1148/9)。

    水戸芸術館のコントルポワンでは今日(3/31)から先行販売させていただいております!

    takehisa_cd


    このCDを聴けば、きっとジルバーマン・ピアノの実物をご覧になって、バッハが讃えたその音色を生でお聴きになりたくなるのではないでしょうか?

    貴重な楽器をコンサートホールに持ち込んで開催するコンサート。
    ぜひお楽しみになさってください。

    《篠田》(『vivo』2015年5&6月号より。一部加筆)
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