【MCO第91回定期演奏会】 聴きどころのご紹介(2)
聴きどころのご紹介、第2弾はルトスワフスキ。スタッフのなかで、一番現代音楽が苦手な筆者が、“硬派”な〈二重協奏曲〉に挑みます…。
ルトスワフスキ:オーボエ、ハープと室内管弦楽のための二重協奏曲
とにかく“ウジャー”っと始まる。「現代音楽」と聞いて私たち一般人が想像する“芸術は爆発だ”的なカオスの音響。思わず、自分の眉間にしわが寄っているのがわかります。我慢。そのうち、いいことがあるかもしれない…。
このフォルテッシモの“ウジャー”という音響が、大きな休止をはさんで、何度か繰り返されます。すっかり聴き手の頭が混乱したところで、オーボエとハープのソロが登場。今までとは対照的に、かすかなピアニッシモの響きに始まるソロ楽器同士の親密な対話です。
すると、またオケの“ウジャー”が来て、その後またソロ同士の対話に戻る。この感じ、何かに似ていませんか。そうです、バロック時代の合奏協奏曲(コンチェルト・グロッソ)です。そのうち、オケとソロそれぞれの持ち時間が短くなり、互いに分断されるようになり、ついにはオケとソロが一体となって、情熱的にクライマックスを築き上げていきます。これ、けっこう楽しいかも。
楽譜を見てみると、弦楽はヴァイオリン7、ヴィオラ2、チェロ2、コントラバス1という編成で書かれているのですが、すべての演奏家に別々の音楽が割り当てられています(スコアを見るとヴァイオリンだけで7段ある、ということです)。第1楽章のほとんどの部分は小節線がなく、「何分の何拍子」のような記載もないので、どうやってタテを合わせるんだという感じです(逆にわざと合わないように作曲しているのでしょうね)。オーボエとハープがデュエットするところも、譜面ではそれぞれのパートのある部分からある部分までが四角で囲ってあり、その枠のなかで最初と最後だけが合っていれば良い、みたいな書き方がされています。
どうして、ルトスワフスキはこのような譜面を書いたのか。この問題については、演奏会当日にお配りするプログラムの曲目解説(片山杜秀先生執筆)をお楽しみに。
さて、以上がラプソディーコ(狂詩曲のように)の第1楽章。この後、ドレンテ(悲しみをこめて)の第2楽章、マルキアーレ・エ・グロテスコ(グロテスクに、行進曲のように)の第3楽章と続きます。全体で20分ほどの曲です。
「聴いたほうがいいのですか?」と尋ねられれば、答えはもちろん「YES!」です。ルトスワフスキがオーボエの独奏者として想定し、初演(1980年8月)で独奏を務めたハインツ・ホリガーの吹き振りで聴けるという滅多にないチャンス。ホリガーが推薦するスイスの名手、シャンタル・マテューのハープ独奏も楽しみです。そして、現代音楽をこよなく愛す芸術監督Nが、「MCOの演奏史上、もっとも現代的な音が鳴り響く!」と熱く予言する演奏会。しかし、現代音楽が苦手な方でも、楽しみ方の引き出しがたくさんある曲だと個人的には思いました。どうぞ、ご期待ください!
《関根》
※ご参考までに、ベルリン・フィルDCHのトレイラー映像をどうぞ。弦楽の編成をかなり増やしていますね(MCOは楽譜の指示通りの人数で演奏する予定です)。この映像で演奏されているのは第3楽章の冒頭。独奏者は二人ともベルリン・フィルの奏者です。
ルトスワフスキ:オーボエ、ハープと室内管弦楽のための二重協奏曲
とにかく“ウジャー”っと始まる。「現代音楽」と聞いて私たち一般人が想像する“芸術は爆発だ”的なカオスの音響。思わず、自分の眉間にしわが寄っているのがわかります。我慢。そのうち、いいことがあるかもしれない…。
このフォルテッシモの“ウジャー”という音響が、大きな休止をはさんで、何度か繰り返されます。すっかり聴き手の頭が混乱したところで、オーボエとハープのソロが登場。今までとは対照的に、かすかなピアニッシモの響きに始まるソロ楽器同士の親密な対話です。
すると、またオケの“ウジャー”が来て、その後またソロ同士の対話に戻る。この感じ、何かに似ていませんか。そうです、バロック時代の合奏協奏曲(コンチェルト・グロッソ)です。そのうち、オケとソロそれぞれの持ち時間が短くなり、互いに分断されるようになり、ついにはオケとソロが一体となって、情熱的にクライマックスを築き上げていきます。これ、けっこう楽しいかも。
楽譜を見てみると、弦楽はヴァイオリン7、ヴィオラ2、チェロ2、コントラバス1という編成で書かれているのですが、すべての演奏家に別々の音楽が割り当てられています(スコアを見るとヴァイオリンだけで7段ある、ということです)。第1楽章のほとんどの部分は小節線がなく、「何分の何拍子」のような記載もないので、どうやってタテを合わせるんだという感じです(逆にわざと合わないように作曲しているのでしょうね)。オーボエとハープがデュエットするところも、譜面ではそれぞれのパートのある部分からある部分までが四角で囲ってあり、その枠のなかで最初と最後だけが合っていれば良い、みたいな書き方がされています。
どうして、ルトスワフスキはこのような譜面を書いたのか。この問題については、演奏会当日にお配りするプログラムの曲目解説(片山杜秀先生執筆)をお楽しみに。
さて、以上がラプソディーコ(狂詩曲のように)の第1楽章。この後、ドレンテ(悲しみをこめて)の第2楽章、マルキアーレ・エ・グロテスコ(グロテスクに、行進曲のように)の第3楽章と続きます。全体で20分ほどの曲です。
「聴いたほうがいいのですか?」と尋ねられれば、答えはもちろん「YES!」です。ルトスワフスキがオーボエの独奏者として想定し、初演(1980年8月)で独奏を務めたハインツ・ホリガーの吹き振りで聴けるという滅多にないチャンス。ホリガーが推薦するスイスの名手、シャンタル・マテューのハープ独奏も楽しみです。そして、現代音楽をこよなく愛す芸術監督Nが、「MCOの演奏史上、もっとも現代的な音が鳴り響く!」と熱く予言する演奏会。しかし、現代音楽が苦手な方でも、楽しみ方の引き出しがたくさんある曲だと個人的には思いました。どうぞ、ご期待ください!
《関根》
※ご参考までに、ベルリン・フィルDCHのトレイラー映像をどうぞ。弦楽の編成をかなり増やしていますね(MCOは楽譜の指示通りの人数で演奏する予定です)。この映像で演奏されているのは第3楽章の冒頭。独奏者は二人ともベルリン・フィルの奏者です。
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| 水戸室内管弦楽団 | 17:55 | comments:0 | trackbacks:0 | PRINT | TOP ↑