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    【MCO第87回定期&東京公演】 準・メルクルさんからのメッセージ掲載!

    吉田秀和生誕100年記念コンサート1
    水戸室内管弦楽団(MCO) 第87回定期演奏会&東京公演(サントリーホール)

    7/6(土),7(日)の水戸公演、そして7/8(月)のサントリーホール公演まで、あと1カ月となりました!そんな中、2004年以来、MCOとは豊富な共演歴を誇るマエストロ、準・メルクルさんより、MCOの皆様に向けてメッセージが届きました!今回日本初演となる「開花Ⅱ」を書いた作曲家、細川俊夫さんの音楽の魅力、吉田秀和初代館長が次代を担う日本人ピアニストと評価した小菅優さんへの期待、そしてMCOがシューベルトの交響曲<グレイト>を取り上げる意味などについてお書きくださいました。ぜひお読みください♪

    Jun_Maerkl20130606.jpg
    Jun Maerkl ©Jean-Baptiste Millot


    ■メルクルさんは、<月夜の蓮>の世界初演(北ドイツ放送交響楽団、2006年)などをはじめ、これまで細川俊夫さんの作品を数多く指揮されています。そして、今回は〈室内オーケストラのための開花 II〉の日本初演となります。細川俊夫作品の魅力をお教えください。

     細川さんの作品は、伝統的なヨーロッパのオーケストラのスタイルを用いて、日本的な感覚や思考の探求を行っており、とても魅力的です。そして彼は、たとえば風鈴のような、幾つかの伝統的な日本の音具を細心の注意を払いながら、オーケストラの中に導入しています。
     彼の音楽の際立った特徴のひとつは、音が鳴っている状態と無音の状態との境界、いわば「静寂」の探求にあります。彼のすべての作品が、この領域から始まり、そして終結しています。


    ■今回ピアノ独奏者を務める小菅優さんとは、フランス国立リヨン管弦楽団(2011年)で共演されていますね。小菅優さんとの共演で何かご記憶に残っていることがありますか?また、今回の彼女との共演について、コメントをお願いします。

     小菅優さんは、日本の最も才能あるピアニストの1人です。そして、彼女は多くの作品で、実にユニークなアプローチを行っています。それは、精巧で卓越した技巧を持つと同時に、激しさや情熱に満ち溢れたものであります。
     彼女とベートーヴェン作品を一緒に演奏するのは今回が初めてなのですが、彼女は、私たちに、この偉大な作品の意味深く説得力のある解釈を提示してくれるであろうと確信しています。


    ■今回のシューベルトの「交響曲 第8番 D944〈グレイト〉」の演奏は、「挑戦」であるとマエストロはおっしゃっていました。そのことについて、お話しいただけますか?

     シューベルト以降の世代が、この交響曲をベートーヴェンの〈交響曲 第9番〉と一対に捉えて、「グレイト」と呼んでいるので、私たちはこの作品を大規模なオーケストラで演奏するものだという考えと常に結びつけてしまっています。そして、20世紀には、そのような演奏がいつでも行われてきました。16人か18人の第1ヴァイオリン、そして総勢で最低でも60人を越える弦楽器奏者、そして管楽器は木管楽器に加えホルンまで2倍の人数に増やされています。
     しかし、音楽構造や美学的な点で、例えばブルックナーなどよりはベートーヴェンと親近性があるという意味で、この作品の音楽書法はとても古典的であると言えます。私たちが、今回挑戦しようとしているのは、この本質に立ち戻るということです。人数を倍増させずに、シューベルトが作曲時に想定していた小編成の弦楽器と管楽器から成るオーケストラの枠内で、本来のバランスを取り戻すということです。もちろん、交響楽的な規模の大きさは保持しながらも、その一方で、この「オリジナル」なアプローチによって、より多くの細部が浮き彫りにされ、より良い音楽構造の理解が得られることを、私は確信しています。私たちは、シューベルトの交響曲の新しい探求の道の途上にいるのです。


    ■最後に、聴衆に向けてメッセージをお願いします。

    長年にわたって、私は水戸と茨城の皆様の前で演奏することに大きな幸せを感じてきました。どれほど多くの意識を皆さまが音楽に向けてくださったか、どれほど多くの若い人たちがコンサートに来てくださったか、それを見つめることが、私の大きな喜びです。この水戸での体験は、音楽を通して私たちはよりよい世界を創出することができ、困難な時にも音楽が勇気を与えられるのだ、という私の希望を強固なものにしてくれています。これからも、皆さまの素晴らしい街に、音楽の力が、光となって輝き続けますよう、心より願っております。


    水戸芸術館音楽部門
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    | 水戸室内管弦楽団 | 14:43 | comments:0 | trackbacks:0 | PRINT | TOP ↑

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