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    【ATM便り】 2014年8月21日号

    茨城新聞で毎月1回掲載していただいている「ATM便り」。8月21日付の記事は、「アルディッティ弦楽四重奏団結成40周年記念演奏会」に因んだ話題です。

    アルディッティ弦楽四重奏団

     今日、シェーンベルクは、音楽の歩みに大きな革命をもたらした作曲家の一人であると評されている。彼の成し遂げた最も大きな革命は、「不協和音の解放」と彼自身が呼んだ行為である。

     ルネサンス以来、西洋音楽は、私たちも慣れ親しんでいる「ドレミファソラシド」という音階に基づいて展開される「調性」の原則に基づいて作られてきた。ここでは、「ドミソ」「ファラド」「ソシレ」といった協和音こそが権威、安定、そして休止の要素であった。不協和音は、調という脈絡の中での逸脱をするダイナミックな要素として正当化されたけれども、新しい調への新しい指向か、あるいはもとの調への復帰かによって解決される必要があった。

     音楽における「調性」は、美術における遠近法の科学と同じ社会/文化体制に属していて、この体制の焦点は、社会における身分制度と政治における法的絶対主義とにあった。「調性」のシステムとは、合理的に組み立てられた階層的文化の下で創出された、各音が平等でない力をもった音楽の枠組みなのである。

     こうした「調性」音楽により表現された既成の政治的、道徳的秩序に抗し、不協和音を解放し、あらゆる音が独自の価値をもち、平等主義的な響の世界を確立したのが、シェーンベルクの「無調」時代の作品である。ここでは、あるときは限られた音響空間の中へ音を詰め込んだり、あるときは全く星のように離れた距離をまたいで音を結んだりしながら、自らの感性の赴くままに、どのようにも音を集めたり束ねたりすることができるようになった。シェーンベルク自身が述べたように、音の関係、束ね、リズムは「ガスのように」伸び縮みする。無限の空間に粉々に砕けた音が存在するこの世界では、作曲家の恐ろしく繊細で鋭敏な感性があってこそ、音楽は結実されることになる。

     23日のアルディッティ弦楽四重奏団の演奏会では、シェーンベルクがその終楽章でついに「無調」に到達した記念碑的作品、〈弦楽四重奏曲 第2番〉を取り上げる。この弦楽四重奏曲の後半の二つの楽章では、シュテファン・ゲオルゲの詩がソプラノ歌手によって歌われる。問題の終楽章に付されたのは、既存の世界から脱却し、新次元への飛翔を宣言する「脱世界」という詩だ。20世紀初頭に行われた音楽の大冒険を、ぜひ多くの方に体験していただきたい。

    (水戸芸術館音楽部門芸術監督 中村晃)
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    | アルディッティQ. | 10:12 | comments:0 | trackbacks:0 | PRINT | TOP ↑

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    【アルディッティ弦楽四重奏団】 カルテットを率いる鬼才アーヴィン・アルディッティへのインタビュー

    ― アーヴィンさんは、経歴を拝見すると、1976年にロンドン交響楽団に入団して、そのわずか2年後の25歳の時に、同交響楽団の副コンサートマスターに就任されています。しかし、さらに2年後の1980年にはアルディッティ弦楽四重奏団に専念すべくオーケストラを脱退されています。それほどまでに強い思いで始められた、アルディッティ弦楽四重奏団を結成された理由をお聞かせください。

    アーヴィン・アルディッティ
    アーヴィン・アルディッティ
    アーヴィン・アルディッティ:ロンドン交響楽団に在籍していた最後の18か月間は、コンサートマスターが不在であったために、私がその役割を担っていました。そして楽団がコンサートマスターを見つけてきた時、本来の仕事のはずだった副コンサートマスターのポジッションは、私にとってもはや興味が無くなりました。特に弦楽四重奏団の活動が、ますます活発になっていったので、これ以上オーケストラに留まる理由はどこにもありません。私の人生はオーケストラの中で費やされるべきではないということが、どこかに「記述されている」に違いありません。アルディッティ弦楽四重奏団は、私がオーケストラに入団する前の1974年にスタートしましたが、その頃は本当に僅かなコンサートを行うだけでした。それはプロフェッショナルではなく趣味のようなもので、カルテットの演奏を皆で楽しんでいました。私が弦楽四重奏団を創設した理由は、とても若い頃から抱いていた同時代の音楽作品に対する私の関心からです。私は12歳かもう少し前に、シュトックハウゼン、べリオ、クセナキスの作品を聴いていました。13歳の時には、メシアンとクセナキスにも会っていますし、15歳の時に、ダルムシュタット夏季現代音楽講習会に参加しました。アルディッティ弦楽四重奏団を組織することは、私の音楽上の関心と、より伝統的な範疇にあったヴァイオリンの修練とを結びつける、合理的な方法であったと思っています。

    ― アルディッティ四重奏団結成40周年、おめでとうございます。これまでに数多くの作曲家と共同作業を行い、数百の現代作品を世界各国で演奏してこられていますが、特に印象深い演奏会をいくつか教えてください。

    アルディッティ:心に残っている瞬間は、ヘンツェ、リゲティ、ファーニホウ、クセナキスなどの卓抜した作曲家たちと、はじめて共同作業を行った時のことです。当初私たちにとって新しいレパートリーが確立されるなどとは少しも思いもよりませんでしたが、作曲家との共同作業は、今演奏している、もしくはこれから演奏しようとしている作品の本当に特別な重要性に、直ちに気づかせてくれるものなのです。私が言及した4人の作曲家すべてと、私達は作品が生まれる前から共同作業を開始していたのです。40年間の演奏活動の中で、特別な瞬間は、すぐに次の特別な瞬間へと取って代わっていきました。しかし、おそらく最も忘れられない瞬間は、シュトックハウゼンの〈ヘリコプター・カルテット〉の初演の時のことです。勿論それは、センセーショナルな性質故に記憶に留まっているのですが、それだけでなく、私が意図したとおりの素晴らしい作品だったからです。

    アルディッティ弦楽四重奏団


    ― 今回の水戸公演では、たいへん充実したプログラムをご用意くださいまして、ありがとうございました。それぞれの作品について、コメントをお願いします。

    アルディッティ:水戸では、通常のコンサート以上の演奏をしたいと思っています。プログラムのアイデアは申し分のない意味を持っており、水戸の聴衆は高い集中力と大きな関心をもって、私たちの演奏に寄り添ってくれることと確信しています。アイデアはとてもシンプルで、2つの20世紀初期の「古典的」な作品の間に、どちらもイギリス人作曲家が私たちのために書いた2つのスペシャルな同時代の音楽作品を、サンドウィッチのように挟みました。

    ベルクの驚くべき最初の〈弦楽四重奏曲〉 作品3は、真に傑作です。あらゆるニュアンスが作曲家によって記譜された複雑なスコアをもつこの作品は、間違いなく多くの現代作品、特に今回のコンサートで続いて取り上げるファーニホウ作品にとって、先駆的な存在であります。

    ファーニホウの〈弦楽四重奏曲 第3番〉は、私にとって、彼の弦楽四重奏のためのすべての作品の中で最も印象的な作品です。第1楽章は、とてもゆっくり動き回る昆虫のようです。あるいは、殻を脱ぎ換えようとしているカタツムリのようです。第2楽章では、第2ヴァイオリンのソロが炸裂し、その後すぐに全てのパートがこのクレイジーな複合的音楽に加わっていきます。この楽章の完璧なフォルムは、エネルギーが拡散する様を見せ、最後はヴィオラのソロで締めくくられます。

    2つめの同時代作品として、私達はバートウィスルのより最近の作品を選びました。この作曲家は弦楽器のために作曲することにはあまり心地よさを感じてはなく、彼に9楽章から成る最初の弦楽四重奏曲の作曲のペンを取らせるためには、幾分の説得が必要でした。〈弦の木〉は、彼のこのジャンルの2番目の作品ですが、時の経過がとても早い、長い1つの楽章から成る作品です。この作品には演劇的な要素もあり、終結に向かってここでもエネルギーは拡散していき、演奏者たちはステージの外側のポジションへと移動し、最終的に舞台上には、最後に奏する音を託されたチェリストだけが残されます。

    ベルク作品でコンサートを始めるという選択は、シェーンベルクの〈弦楽四重奏曲 第2番〉をコンサートの締めくくりとしてプログラムの最後に置くことへの数多くの理由を与えました。シェーンベルクの〈弦楽四重奏曲 第2番〉は、作品の成立以来、最も重要な弦楽四重奏曲の1つであり、最後の2つの楽章では、ソプラノが結び付けられています。この作品は、シェーンベルクの「拡張された」調性で始まりますが、ソプラノが入る第3楽章から、作曲家は無調の最初の試みを行います。

    新ウィーン楽派(シーェンベルク、ベルク、ウェーベルン)の作品は、現代の新しい作品と並んで、アルディッティ弦楽四重奏団の公演では、いつもたいへん重要な役割を負っています。

    サラ・マリア・ズン (c)Rüdiger Schestag
    サラ・マリア・ズン
    ©Rüdiger Schestag
    ― 今回のシェーンベルク作品の演奏のために、ソプラノのサラ・マリア・ズンさんをご推薦いただきました。ズンさんについてご紹介ください。

    アルディッティ:サラ・マリア・ズンは、驚くべきソプラノです。彼女は、この7年間はシュトゥットガルトのノイエ・ヴォーカリステンで活動していて、多数の作曲家と作業をして、数百の作品を歌ってきました。数多くのコンサートで彼女の非凡な歌唱を聴き、私はアメリカの作曲家ジョン・ゾーンにソプラノと弦楽四重奏のための作品を委嘱するアイデアを思いつきました。その作品は、昨年に完成し、演奏は大きな喝采を浴びました。サラは、シェーンベルクの〈弦楽四重奏曲〉を長い間歌ってきていますし、私たちは幸運にも、今年に入る前から、充分にこの作品を一緒に演奏してきています。水戸の聴衆の皆様に、彼女を紹介できることは、私の大きな喜びです。

    ― 最後に水戸の聴衆に向けて、メッセージをお願いします。

    アルディッティ:これまでの水戸での私たちのコンサートは、主に特定の作曲家(べリオ、リゲティ、シュニトケ)の輪郭を紹介するコンサートでした。今回のコンサートは、水戸の聴衆の皆様に、20世紀初頭の古典的な作品から20世紀後半と21世紀初期の将来の古典となる作品まで、それぞれがとても性格の異なるレパートリーによる、アルディッティの演奏を体験していただく絶好の機会となると思います。

    2014年6月8日 Eメールにて
    聞き手:中村 晃
    『vivo』2014年8月号より。協力:オカムラ&カンパニー)

    | アルディッティQ. | 13:59 | comments:0 | trackbacks:0 | PRINT | TOP ↑

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    【アルディッティ弦楽四重奏団】 脱世界Entrückung ― 現代の音楽はここから始まった

    限りある命を授けられた人間が、その存在の儚さ故に、永遠を希求し、そして自身の存在理由やこの世の真理を推し測ろうとする。芸術作品が宿命として持つ革新性の背景には、現状では掴み得ないこれらの命題を、新しい次元に移行することでその答えを見つけたいという、人類の切実な望みが託されている。
    ルネサンス以来、西洋音楽は、階層的な調性秩序を基盤として、発展してきた。そして、後期ロマン派と位置付けられるシェーンベルクの時代に、調性は崩壊し、不協和音は「解放」され、いわゆる「無調」の音楽へと到達することになる。無限の空間に粉々に砕けた音が存在する「無調」の音世界では、作曲家の恐ろしく繊細で鋭敏な感性があってこそ、音楽は結実することになる。
    今回の演奏会では、シェーンベルクがその終楽章で「無調」に到達した記念碑的作品、〈弦楽四重奏曲 第2番〉を取り上げる。この弦楽四重奏曲の後半の2つの楽章では、シュテファン・ゲオルゲの詩がソプラノ歌手によって歌われる。問題の終楽章に配された詩は、既存の世界から脱却し、新次元への飛翔を宣言する「脱世界Entrückung」。今日の私達が抱える閉塞的な状況を打ち破るべく、「脱世界」を夢見たシェーンベルクの音楽に、あらためて立ち還ってみたいと思う。

    演奏は、現代作品を手掛ける弦楽四重奏団として、世界のトップを走り続けるアルディッティ弦楽四重奏団。今回のリサイタルは、同四重奏団の結成40周年を記念する公演として開催される。シェーンベルク作品で共演するソプラノのサラ・マリア・ズンは、アーヴィン・アルディッティもその実力を認める、現代作品のスペシャリストだ。

    アルディッティ弦楽四重奏団 (c)Lukas Beck
    アルディッティ弦楽四重奏団 ©Lucas Beck


    この記念公演にアルディッティ弦楽四重奏団が用意したプログラムには、彼らの数百を超えるレパートリーの中から、厳選された作品が並べられている。冒頭には、シェーンベルクの革新的な試みを受け継ぎ、発展させた弟子・ベルクの「無調」作品が取り上げられる。続く2曲は、これまでのアルディッティ弦楽四重奏団の数多の作曲家との共同作業の中でも、特に濃密な関係を築いた、アーヴィンと同郷の2人のイギリス人作曲家、ファーニホウとバートウィスルの作品が選ばれた。そして最後に、現代の音楽創造の出発点とも言える、シェーンベルクの作品と私たちは邂逅する。
    アルディッティ弦楽四重奏団
    ~結成40周年記念演奏会~

    アルディッティ弦楽四重奏団
    アルディッティ弦楽四重奏団
    アルディッティ弦楽四重奏団
    アルディッティ弦楽四重奏団
    アルディッティ弦楽四重奏団
    サラ・マリア・ズン (c)Rüdiger Schestag
    サラ・マリア・ズン
    ©Rüdiger Schestag

    【日時】2014年8月23日(土)
    15:30開場・16:00開演

    【出演】
    アルディッティ弦楽四重奏団
     アーヴィン・アルディッティ(第1ヴァイオリン)
     アショット・サルキシャン(第2ヴァイオリン)
     ラルフ・エーラース(ヴィオラ)
     ルーカス・フェルス(チェロ)
    サラ・マリア・ズン(ソプラノ)
    片山杜秀(おはなし)

    【曲目】
    アルバン・ベルク:弦楽四重奏曲 作品3(1910)
    ブライアン・ファーニホウ:弦楽四重奏曲 第3番(1987)
    ハリソン・バートウィスル:弦楽四重奏曲〈弦の木〉(2007)
    アルノルト・シェーンベルク:弦楽四重奏曲 第2番 嬰へ短調 作品10(1907-08)

    全席指定
    一般3,500円 ユース(25歳以下)1,000円
    *ユースチケットの取り扱いは水戸芸術館のみとなります。

    【お問い合わせ】水戸芸術館チケット予約センター
    TEL.029-231-8000
    (営業時間 9:30~18:00/月曜休館)

    【主催】公益財団法人 水戸市芸術振興財団

    詳しい公演情報とチケット予約方法はこちらをご覧ください。

    | アルディッティQ. | 18:27 | comments:0 | trackbacks:0 | PRINT | TOP ↑

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